無知識で見たラブライブ!サンシャイン!!の感想(Aqours編)

ラブライブサンシャイン。
秋葉原でμ'sの輝きにあてられた千歌ちゃんがスクールアイドルを目指すわけですが、これはサンシャインが新シリーズとしてのラブライブではなく、「ひとつの光となったμ'sがその輝きで幾多のスクールアイドルを先導する」というラブライブ劇場版の流れを汲んだ、純正品のラブライブの続編であることを意味しているといえるでしょう。特に劇場版ですら語られなかった「μ'sのその後」が描かれた12話は、サンシャインが本家ラブライブの続編としての色が強く表れていました。
そんなμ'sの輝きを追って結成されたAqoursですが、その物語はμ'sとは対照的なルートを辿ることになります。


最初の大きな分岐点が3話、Aqoursは体育館ライブの大成功を収めます。
これは思い出すのも辛いμ'sの初ライブとは真逆の、極めて対照的な展開です。
なぜここで成功ルートを辿ることができたか、というのはその場でダイヤの語った「今までのスクールアイドルの努力と、町の人たちの善意があっての成功ですわ」こそが真実であると思われます。
東京の人間と内浦・沼津の人間の性格の差……東京モンは冷たくてしゃあないという話です。
6話で顕著なように、地域の人々との関わり合いという点がサンシャインでは強く描写されていますし、地域性というのがAqoursを語る上で欠かせないワードになってきます。
千歌と梨子の家が隣なのも、都会じゃ近所との交流も少なかろうという対比的な設定だったのかもしれません。


さておきμ'sとの対比というと、やはり12話です。

ただその前にラブライブ二期の11話を思い出すと、にこの「メンバーが変わっても名前は変えずに続けるのがアイドル」や亜里沙の「私もμ'sに入れますか?」を突っぱねて、「μ'sはこの9人」「大会が終わったらμ'sはおしまいにします」と宣言されたのが、あの砂浜でした。

そんな加入も脱退も許されなかったμ'sですが、一方のAqoursはそれとは対照的な描写が重ねられています。
9話で「未熟DREAMER」の衣装などから見て取れるとおり、二年前のAqoursと現在のAqoursは決して同じではない、しかしどちらもAqoursとして描かれており、これはAqoursは9人だけのものではなく、新規メンバーを受けれ入れられる形態であることを示しています。
また10~11話で、梨子が一緒にステージに上がらないことを是としたことは、一時的ではあれど離脱が許されるというμ'sでは起こりえなかったであろう展開でした。(まあ紅白とか色々あったけど)

「この9人じゃないとダメ」としてμ'sが解散した地で、μ'sを追うことをやめたAqours

別ルートを進むことが確定的となり、そんなAqoursのグループとしてのありかたの違いが、13話における新規メンバーの歓迎や「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」といった、決定的な新展開に繋がるわけです。


さて12話のもうひとつ(本当はもっとたくさんあるけど)の重要な描写は、やはり千歌が舞い降りる羽根を受け取るシーンです。
μ's解散の地(ちょっと違うけど)で、千歌が羽根を受け取ったのはとても感動的な演出でした。
この羽根というアイテムは言うまでもなく「どんなときもずっと」でμ'sのメンバーが受け取り、そして「僕たちはひとつの光」で手放した、スクールアイドルとしての輝きの象徴です。
そしてこの羽根は、サンシャインにおいても「君のこころは輝いてるかい?」のPV冒頭や、1話でも描かれてきましたが、いずれも掴み取ることはできていませんでした。
しかし12話にしてついに、千歌はその輝きを掴むことができたわけです。

ここの描写で羽根を受け取ったのは千歌なのかAqoursなのか、というのはどっちとも取れると思いますが、13話でユメノトビラを見付けて、抜けていったのが千歌だけと考えると前者でしょうか。
ついでに言うと13話で歌われた「MIRAI TICKET」とはこの羽根のことだと思っています。ライブ中にそれっぽい演出があったわけでもないので断言はできませんが。



――と、そうして輝きとしてのスタートラインに立つところでサンシャイン一期は終わります。

しかしμ'sですらその輝きを手にしたのは二期から劇場版にかけてようやくであり、そこに至れたということは、Aqoursとしての物語を完結させるには十分な場所に来ているので、二期が不要な作品構成になっていると思います。






いやいやいやいや、統廃合の問題が全然解決してない!




……ということでさて、Aqoursと浦の星女学院についてです。


さきほど挙げたように、μ'sはあの9人でなければμ'sでなく、だからこそ三年生の卒業がμ'sの終焉となりました。
一方でAqoursは新規も脱退も受け入れられる形態にあり、それは三年生の卒業がAqoursにとっての終焉ではないことを意味しています。
ではAqoursの物語に終止符はいかようにして打たれるか、と考えると、それは浦の星女学院の廃校に他なりません。
沼津にもAqoursのファンがいることは3話や12話でしっかり描写されていて、統廃合は決して暗いだけの未来ではない、という道筋も示されています。

踏まえて、Aqoursが浦女を守ることに失敗する可能性は――多いにあると思います。

アニメの最終話としては統廃合問題を解決させるべき、という論は解決することが前提であり、あえて描かないことで廃校の可能性を消さなかったのだと考えることができます。
こちらは根拠と呼ぶには乏しいのですが、12話でAqoursの進む道を決めた砂浜も、13話で新規メンバーの加入が決まったプールサイドも、前向きなシーンにも拘わらず、夕焼けの下、どこかもの悲しさを含んで描かれていたのはどこか終末的というか、そういうことなのかなぁと邪推できなくもありません。善子もラブライブのことを神々の黄昏って呼んでたしね。


Aqoursにとっての終焉が浦の星女学院の廃校だとすれば……13話こそがサンシャイン一期の最終回にふさわしいものであると思います。

もちろん廃校の可能性もあるというだけで、それを信じているわけではありません。
しかしAqoursが迎える未来は、廃校に伴う解散か、メンバーが入れ替わっても続投のどちらかであろうとは考えています。


Aqoursの行く末やいかに……

 

(おわり)